放射線と原子力災害講演会

昨日はわかくさプラザで災害医療講演会が開催されたので参加してみた。テーマは「放射線と原子力災害 人体に与える影響は?」と言う内容で、福島を始めとする原発事故に対する正しい知識を学ぼうというもの。特に関市は市町村合併で細長い歪な形状になっており、北西部の板取地区にいたっては福井県に隣接し、敦賀原発から約60kmという距離。有事の際には影響は必至のため、今回、岐阜医療科学大学と災害支援協定を結ぶことになったとのこと。市長と学長が並んで交互にサインをし、最後に握手をするという、よくテレビで見るような調印式の後、講演会。

内容は思ったより専門的だった。ベクレルとシーベルトの違いから、α線、β線、ガンマ線の違いなど。ベクレルが放射能の強度、シーベルトは実際放射された放射線の量だ。α線は紙で遮蔽できる程度の透過力だが、ガンマ線は鉛や分厚いコンクリートでないと遮蔽できない。β線はその中間。と聞くとガンマ線の方がやばそうだけれど、透過力が強く通過するだけだから人体に影響は少ない。(レントゲン等が有名)むしろ皮膚や筋肉で遮蔽してしまい、体内で作用するα線が危険だ。今回飛び散った放射性ヨウ素やセシウムはβ線を多く出すようだ。ちなみに核兵器的なプルトニウムはα線を多く放出するとのこと。

放射線の人体への影響は、一気に大量に浴びた場合(急性影響)は吐き気や脱毛、不妊、やけどのような皮膚障害、全身に7,000mSv以上を一度に浴びると死亡する。少ない量を断続的に浴びた場合(晩発影響)は、数年~数十年の潜伏期間を経て、がん、白血病、白内障となる。これらは放射線によりDNAが欠損することで発生する直接作用と、体内の水分が放射線により活性酸素に変化し、DNAを傷つける間接作用に分けられる。成人より細胞分裂の盛んな小児や胎児のほうがより影響を受けやすい。直接放射線にさらされる外部被ばくと、体内に取り込んでしまった放射性物質から被ばくする内部被ばくがあるが、内部被ばくの場合、常に放射線が体内から放射され続けるわけだから影響はより大きいだろう。

いざという時の対応としては、福島原発でもそうだったけれど、ひとまず避難、または屋内で待機が基本だ。場合によっては窓や換気口を目張りして気密を確保する。避難時も、放射性物質が皮膚から侵入することは少ないので、カッパやマスクで防御できる。(脱いでから室内に入る)危険なのはこういった場合にパニックになって無理に避難し、余計に被ばくしてしまうことで、事前にしっかり勉強し、食料や物資を備蓄するなどの準備を確実にしておくことが肝心でだ。

ちなみに心配される敦賀原発、風向き等を調査した結果、もしものことがあっても白山山脈に阻まれて関市への影響は少ないことが予想されるとのこと。まさかの白山登場に山好きとしては興奮。(関市が無事ならいいという意味ではなく戦略の話。)

それにしてもこの岐阜医療科学大学、関市内どころか自宅から歩いてでも行ける距離だった。知らなかった・・・当然測定器やら専門の教授やら居るわけで、去年とかもっと新聞とか市の広報とかで取材してくれれば今日の公演のような情報をいち早く広められただろうに。まあでも市民としては地元にこういう施設があるのは心強くていいね。

Leave a Comment