マングローブとは植物の種類にあらず

河口付近の汽水域に広がるマングローブ林。カヤックで遊びに行きたいものだ。ところでこのマングローブ、汽水域の森林のことで杉とかヒノキといった植物の種類ではない。びっくりだ。(常識?)

海や川の上流から運ばれる有機物が堆積した湿地(大抵は泥)帯に根付き、泥ゆえに酸素が少ないので空気中から酸素を得るための根を地表に伸ばし、よく見かけるあの風景が出来上がる。その複雑に張り巡らされた根っこは生物の住処となり、また、分解された有機物による養分で非常に豊かな環境となる。これがマングローブ林だ。そこに生えている植物をマングローブ植物といい、ヒルギ科、クマツヅラ科、ハマザクロ科の3科が主だそうだ。

これを何で知ったかというとNHKワールドのJourneys in Japan。日本の文化を紹介する海外向けの番組で英語の勉強を兼ねて見ているんだけれど、レポーターのレポートもナレーションの解説もとても詳しいので、いつの間にか真剣に見てしまって英語の勉強になっていない。マングローブの件も日本の番組だったら「マングローブだ!すっげー!」で終わりそうではないか。カヤック転覆くらいしたらおいしいから万々歳だろう。

片やこの番組だと「マングローブは植物の種類ではなく汽水域の森のことで、呼吸をするためにこのように根っこが空気中に出ているのです」とナレーションが入った後、レポーターが「非常に強い生命力を感じて圧倒されます」とか「見て下さい。小魚がいっぱいいます。この根っこが隠れ家になっているのです」のようにレポートする。海水の浄化作用が強い、とか、塩分を排出するため葉っぱがしょっぱい、などの情報も盛り沢山だ。

最近の日本の番組、情報番組ですらどんな風景なのか、どんな味なのかを伝える構成にはなっていない。もはやリアクション芸だ。スポンサーの関係だろうか、とても美味しい店ですよ、とても楽しい場所ですよ、「だからあなたも来なさい」となっていないだろうか。

観光地を紹介するなら歴史や海外との比較、食べ物ならなぜその土地でそういう調理方法が生まれたのか、そういう情報から先人の偉大さを学ぶのだ。番組を見終わった後で、ああ、日本とはなんと素晴らしい国であるか、と思えるようなそんな番組にしてほしいものだ。

Journeys in Japan BS1 水曜 午後2時~2時30分 録画すべし。

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